朗らかな笑顔のイングリッシュローズたち
- わたなべもも
- 4月24日
- 読了時間: 4分
本当はだれにも教えたくない、とっておきの花畑。
平地よりも長く厳しい冬を乗り越えた世羅高原では、春の花たちの開花を皮切りに、花のリレーが始まっています。つまり、どの季節に訪れても途切れることなく花が咲いているのです。さらにその花の規模はいつも想像を上回り、手入れの行き届いた美しさ、種類の豊富さは、訪れるたびに「感動」というプレゼントくれるよう…。本当は、誰にも教えたくないくらい、とっておきの花畑なのです。ですが一方で、こんなに素晴らしい景色、こんなに一生懸命に育てられた花たちを、もっとたくさんの方に見てほしいという想いがむくむくと湧き上がってきます。今回は、春の花たちからバトンを渡された、初夏の花たちのご紹介です。


さえぎるもののない気持ちよさ。
標高540m、空に手が届きそうだ。
思いっきり伸びをする。そして、深呼吸。
ああ、しあわせな芳香。
身体中をこのかぐわしさで満たしたくて、なんどもなんども深呼吸してしまう。
バラは朝のほうがより香りが立ちのぼるらしい。
午前中にきて大正解だ。


わたしにとってバラは、華やかで気高く近寄りがたいオーラを放つ、大女優のイメージ。でもここのバラたちはつんと気取った感じがいっさいなく、とても親しげな笑顔を向けてくる。理由はすぐにわかった。オーナーのこだわりで、イングリッシュローズだけを集めていたのだ。丸くてふんわりとした花びら。こんなに優しくてかわいらしくて親しみやすい…一言でいうと「朗らかなバラ園」は、はじめて。イングリッシュローズだけといっても、150品種、7200株は見ごたえ充分。朗らかなバラたちに囲まれて、こちらもすっかり笑顔になっている。


ひとつひとつのバラを丁寧に見ていたら、久しぶりにカエル王子に出会った。最近はここがお気に入りらしい。
そして、子どもにしかくぐれないだろう小さなバラのアーチを見つける。覗いた先にもイングリッシュローズが揺れているけれど、きっとそこは別世界。たとえば、アリスが迷い込んだハートの女王の庭で、トランプの兵隊たちがペンキでバラの色を塗り替えている…そんな妄想を描きながらシャッターを切った。


夢中で撮っていたら、わたしのお腹はぐぐぅと音をだし「そろそろ休憩しませんか」と提案してくる。「そらのキッチン」は園内にある腹ぺこさんの味方。迷わず大好きな世羅バーガーをいただく。この時のバーガーは世羅高原豚を使ったオリジナルパテに厚切りベーコン、トマト、ベビーリーフ、レッドオニオン、ピクルスを特注バンズで挟んだ豪華な逸品。テラス席でローズソーダと共にバラを見ながらパクリ…大満足!世羅高原の食材を使った世羅バーガーは、世羅高原の複数のお店で取り組まれていて、お店ごとに中身が違う。そして、どんどん進化していくので、同じものが次回また食べられるとは限らない。見つけたときに食べておきたい、とっておきのご当地グルメだ。
*ご当地グルメの世羅バーガーは出会ったときに食べておきたい。
お腹が満たされたら、午後からもうひとがんばり。まだまだ撮りたいものがある。
バラととても相性の良い宿根草。ここには何種類もの宿根草が咲いているのだ。


花の組み合わせや色の組み合わせは自由自在。花の配置にもこだわっていることがよくわかる。見てきれい、撮って楽しい、だから時間がいくらあっても足りなくて困ってしまう。



もちろん、バラとほかの花を組み合わせるのも素敵だ。脇役が違うだけでいかようにも表情を変えるのは、バラの大きな魅力だ。


気持ちの良い風が吹いて、からんと明るい笑い声が運ばれてくる。朝からずっと花の手入れをされている、ガーデナーさんたちの楽しげな声だ。このバラ園には笑い声がにあうなあ。朗らかな時間に心から癒されているわたしがいた。


わたなべもも(花写真・作詞・おはなし)
幼稚園在職中に作詞家デビューし、翌年退職。子どもの歌やおはなしを書き始める。その後、写真家 丸林正則 氏に出会い、花写真を学ぶ。花かごの代わりにカメラをもって、花を摘む代わりにカメラの中を花でいっぱいにする。「レンズの奥の不思議の国」をテーマとし、独自の感性を活かしたワークショップや、おはなしをテーマに作品作りをする「Story*Photo」を展開中。SONYαアカデミー講師、PHOTO*MOMOTTO主宰。花フォトももぐみキャプテン。CDと写真詩集「gradation」を発売中。
Instagram https://www.instagram.com/nabewatamomo/
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